その⑦「身を清めことに望む」

腹だけフランケン

オペを明日に控え、ここからさまざまな手順が段取りよく進むのであった。前日夕食までは食べることができたが、夜の9時以降は絶飲食、しかもこれが手術が終わってからもしばらく続く。もちろん栄養水分は点滴で入れるので、身体には負担は少ないのだけれど、口がカピカピでまるで砂漠でオアシスを探し歩いているようだった。口から入れるものも減らし、さらには下剤で腹の中のものはすべてトイレで水に流すべく、トイレお百度参りを勤め上げる。

そしてことに臨むため、シャワーで身を清めるのだが、その前に腹部をきれいにするためにおヘソのお掃除なんていうものもあったりする。小さい頃、おヘソのゴマを取ったらお腹が痛くなるから触ったらアカンといわれていたような気もするが、オイルをつけてきれいにしていただいた。終わってから看護師さんが「オイルがついているのでシャワーでよく洗っておいてくださいね…オリーブオイル」とおっしゃる。「えっ?オリーブオイル…」てっきりベビーオイルかなんかかと思っていたボクはちょっとビックリしてしまい、オイルは香り高いエクストラバージンなのだろうか、まさかビリ辛の唐辛子入りではヒリヒリしそうだし、いわんやガーリックオイルだったりしたらそのまま「おヘソのアヒージョ」になってしまいそうだ…カミナリ様がワイン片手に熱々のおヘソにフォークをぶっ刺して口に運ぶ妄想を消し去るべく、シャワー室で入念におヘソを洗うボクなのであった。

その夜のこと、小学生よりも早い就寝時間が過ぎた頃、担当ドクターがエコー装置を押して病室に現れた。「最後にもう一度、確認させてもらっていいですか?」「もっもちろん、どうぞ」とは言ったものの、この期に及んでまさか何かあったのかと少々不安になったのだが、ギリギリまで準備を怠らない誠実さと解釈することとし、大船に乗った心持ちで眠りにつくことができたのでありました。