その⑧「あなたはだんだん眠くぅなぁ…コテッ!…わかりますか? 終わりましたよ!」

腹だけフランケン

 さていよいよ手術当日を迎えた。気合十分…とは言っても、手術中は寝てるしかないんだけど。お迎えに来ていただいた看護師さんと手術室に点滴台をゴロゴロ転がしながら向かう。ひとつ上のフロアーにエレベーターが着いてドアが開くと…そこには同じように手術着を着た患者さんがたくさん待っておられるではないか。えーーっ!これからこんなにたくさんの人が手術を受けるんかと、まるで開店前の人気ラーメン屋の行列のような光景にびっくりしてしまったのだった。そういえば、手術室担当の方が来られた時に「手術室に入ったらリストバンドとお名前を確認させていただきます」とおっしゃていたが、この場においてその意味がよくよくわかったのであった。間違って違うとこ切られたりしたらたいへんなので、一番奥の手術室に入ったときにはにこやかな笑顔とともに大きな声で名前を告げた。それに応えるように看護師さん、麻酔科の先生たちが微笑んで迎えてくれたので、緊張感もなくまな板の上(?)に横になったのだった。

 まずは背骨の神経に作用する「硬膜外麻酔」を処置してもらう。細い管を通って麻酔薬を長時間に渡って入れるので、術後もしばらくはそのまま操り人形のヒモのようにつけられていたが、これのお陰でほとんど痛みを感じることはなかった。その威力なかなか凄いです。

 そして両手を広げ、チョコレートプラネットの「TT兄弟」のごとく固定される。口にマスクがつけられ、「それじゃ眠くなっていきますねぇ…」という言葉の語尾も聞かないうちに意識が遠のいてしまった…

 「わかりますか? 終わりましたよ」という声で目を覚ましたときにはすべてが終わっていた。タイトルの「…コテッ!…わかりますか」のふたつめの「…」の間に何と5時間ちょいの時間が経っていたらしいのだが、感覚的にはホンの少しうたた寝をした程度にしか感じられなかった。身体は動かせないが、意識は意外とはっきりしている。ただ口からも管が入っていたせいで喉が痛くて話しづらい。でも、ちゃんと生きていた!