その⑨「そしてICUへ」

腹だけフランケン

 ドクターの説明によると、病巣のまわり最低限の切除で処置できたとのこと、切り取った生レバーを見せてもらったら全体では縁日のスーパーボールの当てものの3等賞くらい、デキモノはその中でハズレのボールくらいの大きさだった。取りにくい場所にあったにも関わらず、身体に最低限のダメージで処置してもらったのは本当にありがたかった。

 心配そうにベッドを覗き込むうちの奥方さまは明日朝から仕事で遠方へ行くことになっているので、「行ってくるね」「楽しんできてね」と傍目には拍子抜けするような会話を交わしてICUへ直行した。ひと晩、まわりにさまざまな機械が並ぶ広い部屋を贅沢にひとりで使わせてもらったけれど、さすがに身動きが制限されていたり口から水が飲めなかったりとゆっくり過ごすというわけにはいかないし、何よりバイタルサインモニターの音がなかなか気になってしまうのだった。自分の脈に合わせてビッビっビッと鳴るのだが、当たり前だがこんな状況だから普段よりは脈も速くなかなかにぎやかなのである。かといって、この音が止まるということは自分の心臓が止まるということなわけで、止まってもらっても困るダブルバインド。途中で気がついたのだが、頭のすぐ横に点滴のポンプがあり、ここから小さいながらも規則正しい機械音が漏れ聞こえ、身体がこのリズムに同期して脈が速くなっているような気もしたが、確証はない。