今回ご厄介になった病室の窓の外に通路があり、それに続く非常階段の柱の向こう側にツバメが巣を作っていた。ふたファミリーが忙しそうに巣作りに精を出している姿を毎日見ながら過ごしていたのだった。子どもの鳴き声は聞こえないので、まだ巣作りの途中かそれとも卵を少しずつ産み増やしている頃なのか見えないので様子はわからないものの、ひらひらと飛ぶ姿や時おり手すりに止まっているかわいい姿にちょっと癒やされたりもしていた。
ある日のこと、いつもはツバメが止まっている手すりにムクドリが止まっているではないか。親ツバメは心配そうに周りを飛び回るばかり。このままで巣がムクドリにやられてしまう、これはイカン、何とかせねばと思ったボクは窓の内側から手を降ったり、網戸にして声を出したりして威嚇してみたがまったく効果がない。何せここは病院なので窓は開放できず、外にも出られない。かといって窓の外に向かって大声を出していたりしたら、すわ急変かと看護師さんが走ってきたりしたら大変だ。おおっどーしたらいいんだぁーっ…切羽詰まったボクが思わずナースコールを押しそうになった時、ムクドリは諦めて山の方に飛んでいってくれた。はぁ~よかった。親ツバメたちも安心したようにいつものように飛び始めたのだった。
そして退院の日。いつものように山肌を背にひらひら飛び回るツバメたちを眺めながら、「おうっ頑張って子育てしろよ。俺もこれから日常に戻ってもうひと頑張りしてみるわ。何せたくさんの人に救ってもらったこの命だからな」などと柄にもないこと思ったりしたのだった。
というわけで、10泊11日の入院生活が終わった。まさか自分がこんな大きな手術を受けるとは思っても見なかったけれど、いつ何があるかがわからないのが世の常、この半年あたまのどこかに「死」というものが身近なものとしてあったことは間違いない。命の有限性と少しだけの執行猶予を心に留めてさてもう一踏ん張り
メメント・モリ(Memento mori)
